身体を支配せよ、心を解放せよ、そして操作せよ、それがダンス

毎回のレッスンでやってる基礎訓練、ありますよね。小出のレッスンだとルイジやセンター、ウォーキングなどがそれにあたります。これらは身体を造ることが主たる目的です。
ジャズダンスを始めたての頃はシェネで目が回ったり、あっちこっち散歩したり、ぶっちゃけ「歩く」という動作すら、満足にいかない。
そんなとこを経て、「今までできなかった動きができるようになった」、「ピルエット2回転が初めてできた」
おめでとうございます!
このように、ある程度身体を支配できて、テクニックが身に着くまでには時間を要するのです。
小出の考えるこの「ある程度」の目安は、基礎訓練中、自分が動いている時に、鏡を通して自分しか目に入らなくなった時です。ここまでくればしめたもの。すでに、第三者から観た動きは劇的に変わっているはずです。さらに磨けばピルエット3回転4回転、イケる。
でも、小出はひとつ提案したい。

そろそろ心に目を向けようぜ。

それでも人間か!あんたには心がないのか?
そんな人はいませんな。だからこそ、日常で笑ったり悲しんだり、怒ったりする。踊っている時も同じで、心はその時その瞬間の踊りを決定している。テクニックはあくまでも感情を表すための手段、身体は入れものでしかありません。
ところが、日常レベルの感情では、舞台に立って観客を魅了させる表現としてあまりにも小さすぎます。自分が楽しんで踊ってるのよ、人のことはどうでもいいの。というならそれもアリでしょう。ただ、小出はそんなダンスは観たくもねー。たとえレッスンであっても、あなたがダンスを本業としていなくても、そこに観たいのは生々しい感情です。

魅了といってもその方法は無数にある。しかしどんな手法を採ったとしても、今自分の内にどんな感情が湧いているのか把握し、観ている人に伝える必要がある。要はコントロールしないとならない。時には解り易い形でしょうし、時には増幅させることもある。曝け出すのは大抵の場合恐怖を伴う。それだけでなく、感情の振り幅を大きくするには勇気が必要です。恐怖を払拭するために必要なのは勇気しかない。

勇気を振り絞る

などと言いますが、俺達はみんな大して変わるもんじゃない。繰り返し行うことによって、練習を繰り返して恐怖を寄せ付けない心を築く。

じゃあ心を鍛えよう、訓練しよう、「教えて」と言われましてもこれ無理なんです、というより意味がねー。心は教わることができない。教える事もできない。自分で学び、習得するしか方法がない。では、心を解放するための訓練はあるのだろうか?小出が思いつく限りで2つある。ひとつは、

インプロビゼーション

いわゆる即興です。特に、ひとりで行う即興のダンス。踊り手は音楽(無い場合もある)と空間、そして自分だけを頼りとして、その場に在る。振付があると安心だけど、その分、振りに頼ってしまうことにもなるから、それを取っ払う。
この訓練をやる者にとっては、成功も失敗もヘッタクレもないです。初めは何やっていいかわからんよ。ただ時間だけが過ぎることになると思う。行う意味も見出せないと思う。あまりにも自由なのでかえって束縛され、惑うのです。
ちなみに、観ている側はそこで起きているダンスが単純に面白いかどうか、洗練されているかを問うても意味がない。考えるな、感じろ、です。

もうひとつは、

瞑想

小出のトコでやったことある人いるかと思うのですが、アレです。全く捉えどころがない訓練だとおもう。一応断言しますが、この訓練をやったおかげで、今の小出のダンスは成り立っています。テクニック的な事も勿論やったよ、でも「眼に見えるモノだけじゃなく、眼に見えない領域って、れっきとしてあるんだ」というのを、みんなにこうして言うことができるのは、実体験として持っているから。
はじめは「これ、何の意味があるんだろ?」「解らない」の連続です。小出もそうでした。でも、いずれわかる時がきます。くーる、きっとくるー。ぶっちゃけ、小出だって全てを理解しているわけではありません。ある日、その瞬間わかるのではなく、年月、月日をかけて、静かに降り積もる感じです。

最後に感情のコントロールと増幅について書きます。じつは小出にとって一番扱いやすい感情は、「怒」なんです。喜怒哀楽の怒。人によって「喜」かもしれないし、「哀」かもしれない。こうやって、単純に漢字で書いてしまうとひとつの感情だけど、全ての感情はつながってますからね。「哀しい」が「怒り」に変化することもあるし、「楽しい」が「喜び」になることだってある。

サムネイルで用いたのは手塚治虫先生のライフワーク火の鳥鳳凰編。我王が師である良弁僧正から「全身に怒りを込めて彫れ」と命じられ、仏師として初めて彫刻を創るあたり。

「いかり!怒!怒!おれの一生はのろいと苦しみに血ぬられていた……」

どうしようもない怒りという感情を作品にぶつけたんですよね。

歳を重ねるたびにこの鳳凰編がどんどん好きになる。読んでいないひとは是非。っていうか、読んでちょ。

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