「リズム感がないからダンスができない」それは嘘だ!

「リズム感がないからダンスが苦手」「音楽を聴く習慣がないからダンスは無理」そんな話を聞く事があります。小出はハッキリ言いますよ。音楽で言うところの「リズムやグルーブを感じる能力」は、踊れない原因とは一切関係がありません。

身体を使えていないからダンスになっていない。

あなたが踊れない原因はこれに尽きます。でも、「身体が使えてない、って言われても、毎日歩いてるし走れるよ」と思われるかもしれません。実はこの考えが大きな誤解を生んでいます。そこで、リズムについての仮想実験で原因を立証してみましょう。

頭の中で「壊れたメトロノーム」を想像してください。正常に動くメトロノームが一定のリズムを刻むのに対し、壊れたメトロノームはテンポが速くなったり、逆に遅くなったりします。
次に、人間を登場させてください。年齢性別は指定しません。「ダンスをやってみたいけれど、自分はリズム感が悪い」そう吹き込んでおいてください。そして壊れたメトロノームの側に立たせます。
「壊れたメトロノーム」と「自分はリズム感が悪いと思っている人」、共通するのはリズムを刻めないという点です。
さて、「自分はリズム感が悪いと思っている人」にダンスをさせてみましょう。テンポはBPM120の曲。まあ、遅くもなく、速くもなく、といった曲です。曲がスタートすると同時に、壊れたメトロノームも同期させます。曲に対する反応がどう違うかに着目してください。
はい、曲がスタートしました。壊れたメトロノームは一定のリズムを刻めずに早取りしたり遅くなったり、バラバラです。一方、「自分はリズム感が悪いと思っている人」は曲のテンポから遅れて、振りを追いかけるようなダンスです。早取りする事はまずありませんし、曲に合せて踊っているように見えない。はい、ここでストップ、実験終了です。結果をみてみましょう。

壊れたメトロノーム・・・曲から遅くなったり、早取りすることがある。
自分はリズム感が悪いと思っている人・・・遅れるのみ。

リズムを刻めないのは同じなのに、差が生じました。これはどういう事でしょう?
実は、「自分はリズム感が悪いと思っている人」は、曲のテンポから遅れるので自分にはリズム感がない、そう考えているのです。
しかし、「曲から遅れる=リズム感が悪いから」この式は成り立つのでしょうか?実験の結果を比較するとちょっとそれは違う気がしてきませんか?むしろ「曲から遅れる=身体が使えていないから」このように考えた方が自然です。

ダンスの動きは普段はやらない。

僕らは身体的な障害を抱えていない限り、動くことができます。例えば「歩く」という動作。日常生活で「歩くぞ、歩くぞ。まず右足を出して、次は左足。右足が前に出ているときは左手を振るんだ。しまった、右手右足が一緒に出ているぞ!ああ、今日も会社に遅刻だ」こんな風に考えながら歩く人はいませんね。「歩く」動作が身体に染み付いているので、スマホ見ながらでも歩く事ができます。ところが、ダンス中では話が変わってきます。
ダンスの振付は、日常生活で行う動作より複雑です。生まれてから一度も経験した事のない複雑な動きに、即反応できるわけがありません。ご家庭でピルェットしながら料理やお洗濯しますか?学校や会社への道すがら、シェネで移動しますか?こうなったら、もはやミュージカルです。日常生活で行う事はまずなかったでしょう。

あなたが踊れない唯一の原因は、訓練してないからです。

日常的に行っている動作でも、訓練なしにはできなかったことは沢山あります。例えば、お箸を正しい持ち方で扱うこと。自転車を運転すること。これらは幼い頃に練習して体得したはずです。だからこそ、今は何も考えずとも身体が反応してくれます。お箸や自転車という道具が、身体の一部になるのです。
ダンスも同じです。あなたは自分の身体の扱い方をまだ知らないだけです。「自前の身体」を道具として扱えるようになればいい。
訓練しない、状況的にできない。その言い訳を「リズム感が悪い」というもっともらしい原因にすり替えていませんか?
踊れるようになりたい。本気でそう思ったのならリズム感のせいにしないことです。そこから前に進めます。